WBC世界一奪還への道

 米国との準決勝戦で1-2の好勝負を演じた侍ジャパンは実力通りの野球を披露したといえる。準決勝を前にわたしは思った。「日本野球の投手力、守りや攻撃のち密さを世界にアピールしてほしい。同時に、世界に及ばない日本野球の課題を選手や関係者、ファンが認識するためには米国に勝たない方がいい」と。

 結果はその通りになった。米国の関係者は「スガノはMLB(米大リーグ)の投手としてりっぱに通用する」と語った。ひとつのミスがあれば勝敗は逆になっていただろうとも言っているから、日本野球の素晴らしさを世界に証明できたのだ。これはイチロー選手の功績にも確固たる価値を付加するものだ。

 実際にプレーした選手たちの感想はどうだろうか。菅野投手(巨人)は謙虚に語った。「野球人生で最高の経験だった。しかしこのピッチングが2回、3回と続いたら実力だ」。山田、筒香、中田ら主力選手は一応に、米国投手陣のよく動く球、速球のコントロールに感嘆し、自らの課題を意識づけている。

 こうした選手の意識変化は大切だが、桑田真澄氏は天然芝やアンツーカーグランドの必要性を指摘する。加えてわたしは、小学生、中学生の頃から天然芝やアンツーカーの野球場に触れる事、慣れる事の重要性を強調したい。ラグビーの世界では幼いころから天然芝でステップを踏まないと世界水準に到達できないとも言われる。NPB(日本プロ野球機構)が本気で世界一を目指すなら環境面での整備を視野に入れてほしいと思う。

 さらに人的交流を盛んにすることで世界水準の野球に慣れることも必要だ。カットボールやツーシームのいわゆる「動く球」を数多く経験することで克服が可能となる。日本プロ野球界がサッカーのように選手をどしどし海外へレンタルし、長期、あるいは短期にMLBへ選手を送る。そんな交流が実現すれば楽しいではないか。

 WBC準決勝の舞台はわたしになじみのドジャー・スタジアム。昨年6月のファーザーズ・デイは「マエケン」の登板日だった。アリージャンの丘に建つ底抜けに明るい雰囲気の野球場。

 日本選手、NPB関係者あるいはスポーツ・メディアはそこで得た教訓を今後に活かしてほしいと願う。

シニアの昭和史 独り言 (還暦野球スポコラ改題)

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