500歳野球の現場で緊張感を味わう

 日曜日に野球をするのは久しぶりだった。10月4日午後、三田市テクノパークに到着。われわれ三田プリンスが出場するのは500歳野球。決まりがあって、バッテリーは50歳以上に限るとのこと。軟式野球協会が組織の活性化と中高年の健康向上のために創設した大会である。

 500歳野球発祥の地は京都なのだと耳にしたが、さっそく取り入れた三田軟式野球協会の英断はお見事。今、日本各地で成人の野球チームが減少しているから、こういった取り組みが生涯スポーツの発展につながればうれしい限り。

 われわれの前のゲームは兵庫県都市対抗野球の三田市決勝戦。若者たちが速球を投げ、鋭いスィングで振りぬくとスピード感のある走塁で塁間を駆け抜けていく。想えば20数年前、このテクノパークで県都市対抗の二回戦を行った。日野クラブにおけるわたしの晩年だったが、二人の息子も参加してこんな野球をやっていたのだ。あの時代の、厳しい野球を思い出して全身に快い緊張感が走った。

 結果は楽勝だったが、日曜日の野球ってなんと贅沢なんだろう。贅沢といえば丸々一週間、ドジャースの施設を使用して、ドジャースのユニフォームを着て、元メジャーリーガーたちに指導を受けるキャンプは超贅沢、贅沢の極み。またまたその報告です。


 オプション練習

 7日の午後4時がキャンプの正式なチェックインなのだが、例年、それに先立ってオプション練習会が開かれることになっている。その練習に参加するために、わたしは一日早くベロビーチへ来たのだ。

 その「Oputional  Workouts」は14時30分に第1フィールドに集合し、3つのグループに分かれて練習を行うとのこと。バッティング、内外野の守り、室内のゲージでマシンを使用しての打撃練習。これらをローテーションしていくのだ。このドジャーズ・キャンプでは、全員がすべてのポジションをこなすことになり、だからキャンパーたちは、「ここに来ると本当にベースボールが上達する」と断言する。

 わたしのバッティング内容はまったくお粗末だった。自分のフォームを忘れてしまっている。硬球を重いバットではじき返そうと力むからおかしなフォームになってしまい、ボールは飛ばないし、手はしびれるし。初っ端からこと打つことに関して、わたしは意欲を喪失してしまった。情けない。

 外野の守備はまずまず合格点と思ったが、内野守備ではジャンピング・スローがマスターできずにお恥ずかしい限りだった。日本ではやったこともなかったし。おまけに長旅の影響なのか脚や腰がだるくてバネ(弾力性)がない。それにひきかえアメリカ人キャンパーたちはゲージを奪い合うかのようにしてマシンに向かい、真剣にバットを振っている。彼らの「打つ」ことへの執念を垣間見た初日だった。

 「いいよ、いいよ、オレにはピッチングがあるからね」と、幾分余裕を持ちながら、フロリダの青い空、パームツリー、弾力性のある芝生と快い汗、そして乾いた硬球の打球音に思いを馳せていると、自分が今、ベロビーチで野球をしている不思議さを感ぜずにはいられなかった。

 英語は話せないが、仲良く声をかけてくれるキャンパーもいる。初めて参加のキャンパーはホワイト。ヴェテラン・キャンパーはグレイのユニフォームを着用するきまりになっている。わたしは真っ白なユニフォームで初日の練習に参加した。胸には「Dodgers」のブルーのマーク。それは、わたしがベロビーチに印した記念すべき第一歩でもあった。

  文化の違いを感じて

 ちょっとおかしな報告になるが、後に続く日本人キャンパーのために「あえて」言っておきたい。あちらの人たちは生理現象についてはしごく大らかで、トイレで大きな音を出すことに恥ずかしさは感じていないようだ。第一トイレの仕切りが簡単だから、隣で座っている人の膝から下が見える。そんなトイレで「プッ ブッ」と自然な音を出しながら、朝のひと時をともに過ごすのだが、さすがに2日間はきつい便秘になってしまった。

 文化の違いは他の場面でも顕著だった。オプションの練習を終えたのは午後4時過ぎだった。ロッカールームには温かいシャワーが完備されているから、練習後のキャンパーたちは満足感に浸りながら汗を流す。その後がいけない。クリーニングされた真っ白なバスタオルが使い放題なのに、なぜか彼らは、前も隠さずにぎやかにしゃべりながら通路を歩くのだ。

 もちろんわたしもシャワーを使った。「フワフワの分厚い天然芝、憧れのロッカールーム、そして練習後の温水シャワー。「日本の子どもたちにこういうスポーツ環境を与えてやりたいなあ」と思いながら、「オレもメジャーリーガーだ」とばかりにアメリカ人の隣でシャワーを浴びた。だが2日目からわたしはロッカールームのシャワーは使わなかった。なぜなのか?正直に言おう。彼我のサイズの差を痛感してしまったからだ。

 ありがたいことに日ごろの練習が効いたのか、初日の練習が終わる頃には体が軽くなっていった。これで明日からのキャンプに自信が持てる。いいコンディションがもどってくれたのだ。午後の日程を消化してシャワーを浴び、自室の140号へ戻ると疲れがドッと出てきた。

 今夜はプールサイドで豪勢な「ウェルカム・パーティ」が予定されている。「こんなときに英語が話せないと辛いなあ」とベッドに寝転んでテレビのスイッチを入れたら、当然のことながら、ドジャータウンのテレビはどのチャンネルもイングリッシュ・オンリーだった。

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