佐山和夫氏野球殿堂入り

 本人には届かぬ声ながら、「佐山さん、野球殿堂入りの名誉、心からおめでとう!」(2021.1.14発表)

 佐山和夫さん(84歳・ノンフィクションライター)はわたしの野球人生における大恩人。彼の著作がわたしをアメリカへ誘(いざな)った。1996年の「59歳のドジャース・キャンプ体験記」、1997年の翻訳「夏の若者たち(青春篇)」(原作、ロジャー・カーン)、この2冊の本がなかったらベロビーチのドジャータウンでベースボールを体験することはなかったのだから、佐山さんから受けた影響はとてつもなく大きいものだった。 

 過去のブログを振り返ってみる。題して ♪ぼくにも新しい野球シーズンがやってきた♪

 ☆やっと野球のシーズンが訪れた。今シーズンは長年プレーした軟式野球チーム「日野クラブ」(西脇市)をめでたく引退し(年齢による衰え)、M市のチームに所属している。かつての教え子たちも40歳を過ぎ「口だけは達者だが、体はからっきし動かない」選手になってしまったが、25年前の「生徒たち」をバックにしてピッチングができる幸せは何ともいえず贅沢だ。

 先週5月2日(*2004年)は今シーズンの初勝利だった。M市軟式野球協会B級に所属するわが「中央サポート」は、1,6回にタイムリー・ヒットで2点を取って逃げ切った。エラーもなく2-0の完封劇をやってのけた。ぼくの右腕は昔の「やんちゃ坊主」たち(そういえば夏の合宿でビールも飲んだなあ)に後押しされて0封の偉業を成し遂げた。

 数少ないサイトの読者がこの記事を目にされる頃には、9日のゲームでぼくは再び勝利の涙を流していることだろう?。そんな幸せな中年野球選手に海の向こうからビッグな夢がやってきた。それは、長年夢に見続けた「ドジャーズ・アダルト・キャンプ」の正式な受諾書だった。

 佐山和夫さんに感謝して

 ノンフィクション作家・佐山和夫さんが「59歳のドジャーズ・キャンプ体験記」(小学館)を出版されたのは、1966年の秋だった。この本によってぼくは初めて、アメリカのプロ野球球団がファン・サービスの一環として、30歳以上の大人を対象に「ドリーム・キャンプ」、「ファンタジー・キャンプ」と称されるものを実施していることを知った。本の表紙にはドジャーズ(佐山さんはドジャースと呼ばない)のホーム用ユニフォームに身を包んだ佐山さんがドジャーズのかつての名選手たちと写真に収まっていた。

 表紙をめくるとそこはフロリダ。青空とグリーンの芝が鮮やかなコントラストを見せて11月のベロビーチが美しく輝いている。7面の球場を持つドジャータウンには、トム・ラソーダやレジー・スミス(巨人でもプレーした)もやってきて、その中で佐山さんは野茂英雄が投げたマウンドに登ったのだった。この本との出会いはぼくの心に大きな夢の灯をともした。

 キャンプ・スケジュール

 このキャンプは次の日程で行われる。7:00ダイニング・ルームで朝食。8:15クラブハウスで着替え。すぐに第2球場へ集まりベースボール・カードの写真撮り。9:00からストレッチングとランニング。朝の練習。グループ毎に巡回する。

(1)インドア・バッティング・ケージ・・・指導レジー・スミス

(2)ピッチング・・・指導カール・アースキン、プリーチャー・ロウ、ジェリー・ロイス

(3)第1球場でバッティング・・・指導スティーブ・ガービー

(4)第2球場で守備練習・・・指導マンデー、ラッセル、サイズモア。

こうやって午前中はフリー・バッティングやダブルプレーの練習が実施される。

  昼食後は練習試合が組まれ、夕方5:00からはカクテル・アワーと称しその日のゲームのビデオが流される。19:00夕食、じゃなかったディナー。その日のゲームで活躍した選手の表彰などが行われる。夜はインストラクターとの会話、プール、カード遊びにビリヤード。優勝者にはドジャーズのTシャツ・・なんて最高だ。映画室ではベースボール関係の映画が流される。これがキャンプの日程である。

 DODGER TOWNからの便り

 佐山和夫さんの著書を読んだときからぼくは「行くぞ」と決めていた。その夢を8間ずっと温め続けてきた。そしてついに実現するときが来た。去る2月に高野連の事務所で佐山さんから書類をいただいたぼくはさっそくドジャーズ球団へ手紙を出した。もちろんすべて英語で(娘の直訳)。その返事がついについに我が家へやってきた。

  A4サイズの真っ白い封筒には中央にボールのマークがある。紺の輪に赤の糸。そこに住所が書かれている。 「Takeshi Takemoto JAPAN」と。封筒の左上にはドジャーズのロゴがあって、その下に「VERO BEACH , FLORIDA」とプリントされている。ドジャータウンの全景写真とストレッチ体操の解説書が同封され、2通の手紙も入っている。

 「Dear Takeshi」ときたねえ。「申し込みいただきありがとう。日程は11月の7日から13日間です。あなたのパッケージの一部としてドジャーズの2着のユニフォーム(ホーム、ビジター)とキャップ、キャンプ修了証、写真、50枚のベースボール・カード(もちろん自分のもの)、そしてビデオ、ジャージやソックス、ベルトなどをお渡しします」

 心はもうベロビーチへ

  カジュアルなスラックスや襟付きのシャツを用意せよとか、スパイクはカネとゴムの両方を持参せよとか書いてあるが、これで正式に参加が決まったことになる。トレーニング内容も指示がでている。とにかく8月にすべての書類が届くという。「全力で野球ができる間にフロリダへ」、それが目標だったから退職を早めて準備してきた甲斐もあったというものではないか☆

 2004年当時の興奮が蘇ってくる「佐山和夫 殿堂入り」の報道だった。佐山さんに導かれて2004,2006年の二度、ベロビーチへ赴き、たくさんの友達ができた。作家業の意義と、当時の「あこがれに値するアメリカ」を懐かしく振り返りながら、その後のアメリカと野球をめぐる変遷に思いを馳せなければならない。トランプ後にアメリカが遠くなったと感じるのはわたしだけだろうか。

 佐山さんにお会いして直接感謝を述べ、野球への想いを拝聴する機会があればと願っている。

 

シニアの昭和史 独り言 (還暦野球スポコラ改題)

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