高校野球ってなに?ある保護者の悩み

 知人の息子さん(高3)は公立高校の硬式野球部員。レギュラーの座を獲得している。野球経験のない父親は最近、保護者の一員として練習や試合を見つめることが多いという。その中で高校野球への疑問が湧いてきたようである。

 焼き鳥屋のカウンターで彼はいった。表面上は問題ないように見えますが、と前置きしてわたしに語ってくれた。「ずっと観察しているとレギュラーでない生徒たちの表情が徐々に曇ってくるんですよ」。続けて野球の素人を自認する彼はわたしに質問するのだった。

 「野球は投手力が大きなウェイトを占めますよね?ところが投手への指導ってあまりないらしいんですよ」。夕食時に息子さんに尋ねると「細かいことは言われないよ。練習をやれとは言われるけど」とのこと。中学の部活なら細かいことは抜きにして練習すればいいのだが、高校野球となると走攻守に理論的な細かい指導が入ってしかるべきではないか、とわたしは返答した。

 知人いわく、「先輩は(わたしのこと)投手を丁寧に見て、さらにレベルの高い専門的な方を呼んでましたね」と。それは言える。地域や元プロの野球人がやってくると中学生は喜んだ。緊張感を持って練習をした。そして上手になっていった。

 自ら勉強することがなく、自分より優れた指導者を招くこともなく、上から目線で高校生に野球を教える指導者。その陰で情熱を失くし、目を曇らせる選手たちが増加する。高校野球の指導者は「偉く」なりすぎる傾向があると感じるのはわたしだけだろうか。

 そんな体質はエースの酷使にも結びつく。次回には高校野球の投球数について書いてみようと思っている。中には複数投手を用意して将来性を壊さないよう努めている監督もたくさん生まれているし、夢や笑顔があるべき高校野球の現場で、一方的で選手の自主的な思考や行動を大切にしない練習風景が蔓延している事実を嘆く指導者も多数存在する。

 私ごとになるが、「これぞ高校野球」といった野球部に出会いたいと日々思っている。わたしに話しかける保護者の横顔を眺めながら、そんな野球部の先生とこうして焼き鳥を食べながら話し込んだらさぞ愉しいだろうなと思った。

 

 

シニアの昭和史 独り言 (還暦野球スポコラ改題)

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