求められる「発想の転換」

 平成29年に入ると肩の荷が下りて気分がグンと軽くなっている。自身に課してきた「地域づくり」の活動が一段落し、わたしの課題が後継者づくりに移ったからだ。そんなときに講演の依頼を受けた。「平成29年度 東・北播磨地区スポーツ推進委員研修事業兼生涯スポーツ指導者講習会」。6月3日(土)午前10時西脇市総合市民センター体育館。約120名の委員さんを前に「発想の転換」と題して話をさせていただいた。

 7年前に兵庫教育大学大学院で卒論のテーマと向き合っているときに一冊の本と出会った。著者は杉山茂氏。元NHKスポーツ報道センター長であり、Jリーグ理事も歴任した杉山氏は「スポーツは誰のためのものか」の中で発想の転換を訴えている。

 ・スポーツの振興 ⇒ 地域振興にスポーツはいかに役立つか

 以後、わたしのキーワードとなる「発想の転換」だった。過去の遺産に依存せず新しい資源を開発し、スポーツクラブによる子ども、高齢者、障がい者を視野に入れた「新しいまちづくり」をめざす。スポーツネットワークで事業性を探る。わたしは西脇市において杉山氏の主張を実践した。

 平成24年1月~2月「今里純野球特別展」。昭和30~70年代にかけて日本プロ野球コミッショナー事務局待遇、後には阪神タイガースの顧問として日米両球界の橋渡しをした故・今里純先生(歯科医)を顕彰した。約2,600名が訪れた。25年にはNPOスポーツアカデミーShineを創設して地元中学生による硬式野球クラブをスタートさせた。本年で5年目を迎える。

 同年、「わたしにできることがあれば何でもしますよ」と電話をいただいた鈴木啓示さん(プロ野球通算317勝の大投手)の協力で「鈴木啓示 草魂カップ少年軟式野球大会」が誕生した。県下32チームの参加で本年11月4、5,11日に第5回目の大会を迎える。27年5月にはこれも鈴木さんの尽力で、鈴木・土井・柴田・福本氏による「名球会野球教室」が盛大に行われた。

 地元中学生の野球クラブから「官兵衛ゆかりの地交流親善硬式野球大会」が始まり、官兵衛生誕の地・西脇をアピールしていった。そして26年11月に障がい福祉事業所「ドリームボール」を創設して、地場産業から生まれたレインボーカラー(7色の糸)で破れた硬式野球ボールの修理を行い、高校生ー作業所利用者ー地場産業が「甲子園に虹をかける」取り組みを展開している。 

 もとより、これらの事業は西脇市、教育員会生涯学習課、軟式野球協会、北播少年野球連盟、個人有志の総力で成功を収めていることは論を待たない。わたしたちのキーワードは、「地域振興にスポーツはいかに役立つか」。常にこの言葉に立ち返って実践を重ねてきた。

 昨年8月には韓国と台湾の少年野球チームが西脇を訪れた。国際交流はわたしの念願だったから人知れず感慨を深めたものだった。今年も8月4,5,6日にランブリッジ(大阪の会社)が韓国チームを西脇に招く予定である。

 「地域振興にスポーツはいかに役立つか」。スポーツ関係者のみならず、行政、市民すべての人々に発想の転換が求められる。

 講演の日の午後は「ユバーサル・スポーツ」の実技講習会。体育館内には大きな横断幕も用意され、車いすを使用した玉入れなど、スポーツによる子ども、高齢者、障がい者を視野に入れた新しいまちづくりのためのスポーツ指導講習会が持たれた。開会セレモニーでは西脇こども園のかわいいベル演奏もあり、心温まる研修会となったように思う。

 西脇市は東京オリンピックの事前合宿にオーストラリアの卓球チームを招く運動に力を入れている。この運動が市民全体に広がり成功すれば、「地域振興にスポーツはいかに役立つか」(事業性も含めて)の見本となる。そんな時期のスポーツ推進委員研修に参加できて光栄だった。

 

 

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