還暦・古希野球 記念日
誰かがつぶやいたのは荷物の片付けが始まった試合後のベンチだった。
「野球って、いいなあ」
この日は還暦野球三田プリンスの開幕試合だった。場所は宝塚スポーツセンター野球場。公式戦は7-1で今季初勝利。投手Kさんはイメージチェンジとなる緩急織り交ぜての好投。第2試合は交流戦。ベンチ総出で7-2のこれまた勝利。4打数4安打のKさん、わたしが5イニング、あとを受けた弁護士のKさんが2イニングを抑えて交流戦勝利を引き寄せた。その直後に飛び出したのがしみじみとした誰かの述懐。「野球って、いいなあ」。
「この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日」。「野球っていいなあと誰かが言ったから3月23日は還暦野球記念日」。
3年ぶりに還暦・古希野球がスムーズに開幕している。わが三田プリンスは3月15日の近畿王座決定戦(京都・城南市)で大敗したが、これは余興。以後は連勝を重ねている。就労継続支援B型「ドリームボール」(これは障害者が働く事業所)理事長を後進に譲り、今シーズンからは丸一日、どっぷりと野球に浸っているから、野球の喜びが倍増。
3月23日は第1試合にショートストップで4番を打つ。2安打だった。守りでエラーをした。第2試合はピッチャーで5イニング、その後は一塁へ入った。4月4日は古希だから先発投手として5イニング(コールドゲーム)完投。2試合目は休養。続く4月7日は還暦の兵庫シルバースター戦(尼崎・橘公園野球場)。ここでは一塁手で3番打者として出場した。拙い守備もあったが打点2で勝利に貢献できた。2試合目は投手として「中2日」で登板、3-3で時間切れ引き分け。マイクロバスに揺られる車中で体は疲れでクタクタ、心は喜びいっぱい。満足感に包まれる桜咲き誇る春の一日だった。
1試合終えて仕事に帰るあわただしい参加では知りえなかったメンバーの人生。古希の監督Nさんは石川県の漁師の家で育った。あの男の匂いはそれゆえか。イタリアに嫁いだ娘さん家族帰国の際は寿司を握るという。「阪急のデパチカには結構新鮮な魚があるからね」、そして自ら包丁でさばいて酢飯を炊いて、おいしい寿司の出来上がり。また会計担当のMさんはロサンゼルス駐在経験がある。「マリーナ・デル・レイ?すごくいい場所ですよ」とわたしの長女が住む街を知っていた。弟の誘いで大谷を見ている。アナハイムで3泊し、大谷のホームランを見たという。英語がペラペラ?のKさんはニューヨークとベルギーに駐在していた。そんな人生の断片がわかってきたのが今シーズンなのだ。
テニスも達者なIさんが後部座席で語っていた。「この年齢で、昔やりたくてもやれなかった野球をやってるなんて想像もできなっかたね」。同感! 今シーズン開始に3人の主力選手がグラウンドから消えている。70歳に近づくと病気、けがは付き物とはいえ彼らの無念さが伝わってくる。全員揃うまで何とかチームを守りたいと思っているのだ。
4月12日、三田谷で練習、シャワーを浴びて着替えるとスタバでしばし読書。経費節減でアメリカーノとシュガードーナツ一個、670円?なり。武庫川べりの葉桜を眺めて疲れた体を癒す。疲れのありがたさが満足感として沁みるひととき。わたしの「野球記念日」は続く。
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