感動の古希野球
惨敗を期した5月9日の対兵庫戦(宝塚インターからほど近いクボタのグラウンド)から2週間、わたしは悶々としながら捲土重来を期していた。
思えば47歳だった。西脇軟式野球協会のA級(県連盟認定)で「引退」を胸に投げた試合で準完全試合(ノーヒット・ノーラン)を達成したことがある。そのときはどのような投球スタイルだったのか。衰え始めた速球を見せ球に、カーブを有効に使いながら勝負球としては意識的にボールゾーンへ投げていた。だから通用したのだ。
それなのに、還暦野球から古希野球へと続くこの12年、どうも考え違いをしてきたようなだ。9日の敗戦はそこがショックだった。どこかに「うぬぼれ」や「傲慢さ」が潜んではいなっかっただろうか、上から目線で臨んではいなっかったか。反省の毎日だった。
練習に行くと還暦のエース・Kさんがいった。彼の意見はこうだ。
①軟式野球では「いい球」を徹底して使うこと。あれこれ投げようとしない。
②速球は見せ球にする。
③落ちる球が有効だ。
また超ヴェテランのYさんは率直に、「おまえ、いつまで力に頼っててるんや、ゆるいボールもつかわんかい」とアドバイスされた。大敗した後の忠告は素直に耳に入る。
以後の練習あるいは還暦野球の交流戦(2試合目の試合)では落ちる球を練習した。フォークボールは昔から投げていたからすぐに感覚が戻った。そうして期待感と一抹の不安を抱いて迎えたのが、23日の川西ジャガーズ戦だった(川西市向陽台)。
結果は完封、6-0。見方が攻守、好打で盛り上げてくれて、わたしはカーブ、速球、フォークで落ち着いたピッチングができた。フォークひとつで投球に幅が出るから不思議なものだ。フォークで三振ふたつ、内野ゴロもいくつかあった。するとストレートも生きてくるから、まっすぐで三振もとれる。カーブは得意玉。古希野球での完封は貴重なのだ。気持ちよかった。マウンドへ向かうのが楽しいし、疲労感は激減。打者としても2塁打を2本打ってチームに貢献できたから一層うれしい勝利だった。
72歳で周囲のアドバイスを素直に取り入れて、変わる自分、変化進歩する自分に喜びを見出している現状、そして何より今後に希望を持たせるピッチング内容の変化を体得したこと、などが重なって、帰路は気分も上々だった。川西~猪名川~三田の道は自然がいっぱいで、新緑の輝きに満ちていた。「道の駅いながわ」では十割蕎麦にノンアルまで注文して今日の感動をじっくりと味わった。
試合後はメンバーがわたしのピッチングと打撃について論評してくれたが、これも特筆すべきことだった。
・2ストライクから3ボールになったことが何度かあったけどあれはわざと?いろんな球を試していた?3-2からファウル何本も打たれて、それで無四球、すごい自信なんだ。
・打つときの間がいいわ、リラックスできているし、バットの出がスムーズだね。
「これで本当にチームの一員になれた」と感じた瞬間だった。昨年までは仕事のために参加するのは古希野球のみ。練習も、還暦野球公式戦も欠席の連続だった。今年からNPO理事長職を辞任しているから(今は本当の貧しい年金生活者)、週2日は野球三昧なのだ。それでやっと認めてもらえるメンバーになれた、そう思ったのだ。
これからの自分はさらにチームに役立つ野球ができるだろう。「みんなの役に立てる」喜びに勝るものはない。いい一日だった。おそらく誰にもわからない、理解できない自分だけの深い感動を味わう一日だった。
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