歳は感じるが、70歳代は元気だぞ
若き日、わたしたちのヒーローだった人たちが次々に世を去っていく。
去る9月25日、池永正明氏(元西鉄ライオンズ)が死去した。確かわたしは中2の春だった。センバツ大会(甲子園)で左胸のSマークも誇らしげに力投する下関商業高校のエースを感動して見つめていた。そのテレビ画面は今も忘れることができない。プロ入りの年に20勝、実働5年で通算103勝はすごい。「黒い霧事件」で永久追放されなかったらと惜しまれる。
聞いた話だが、オールスター戦で見たプロ2年目の池永投手のひじはすでに曲がっていたそうだ。お灸の後も痛々し気に。その腕をまくって、「この腕で俺は1億取るからな」(年俸)と力強くいったという。池永氏を「運動神経の塊で、強気で、男らしかった」と振り返る元プロ野球投手は、携帯の向こうで「寂しいなあ」とつぶやいた。平和台球場の試合後、池永氏が経営する中洲のスナックを訪れると「おぅ〇〇、来てくれたのか、ありがとう」と心から喜んでくれたそうだ。二人は年齢が一つ違うライバル同士。記憶に残る人物がまたひとりこの世を去った。
そんなことも手伝ってか、テレビでは中高年の活躍するドラマを見るのが楽しくなった。「3人のオッサン」(同級生が夜回りをして地域の事件を解決する物語)はおもしろかった。中村梅雀主演の「下町人情捜査班」は上官から年寄り扱いされながら、同級生二人の警官と力を合わせて最後には事件を解決する物語だ。これまた痛快。大好きだった直木賞作家の故・海老沢泰久(「監督」など野球小説も傑作ぞろい)原作の「無用庵隠居修行」では、水谷 豊が渋い演技を披露する。
最近ではテレビドラマ「長生き競争」が傑作だった。山本周五郎「青べか物語」の舞台だった浦安で、小学校の同級生5人が「一番最後に残ったものが受け取るんだぞ」と44万4,444円を出し合って話が展開する。宇津井 健がまだ若さの残る粋なオジサン役。ひとりひとりと亡くなっていく中に、わたしたちに人生とは何かを問いかけるドラマだった。翌日、図書館で「青べか物語」を借りて、今読んでいるところだ。
わたしの場合はどうだろう。26日(月)は兵庫県還暦野球連盟の古希野球公式戦、甲子園球場南に位置する甲子園浜野球場で「西宮スーパースター」と対戦。6イニング投げて勝利投手に。雲ひとつない空を見上げて快い疲労感に包まれていた。翌日は作業所で利用者さんと草刈り作業(10:00~15:00)だったが、登板の翌日は体に応えるのだ、歳だから。
28日(水)は還暦野球の公式戦(三田市)。途中からライトを守った。二試合目の交流戦で4イニング投げる。中一日でまた投げたのだ。うんうん、出来は良かった。73歳が投げ続けても体が動くのがうれしいじゃないかと、マウンドで自然に笑みがこぼれる。翌29日は教え子とゴルフだった。スコアなんて関係なくて、さすがに体は休養を欲していた。一日休みたいぜと思っても、30日は障害者事業所で利用者さんと二人で野球場外野の草をかじく作業が待っていた。10月1と2は西脇軟式野球協会理事長としての責任ある活動を行った。
とまあ毎日体を動かしているのだが、実感するのは「70歳代はまだ若い」ということだ。適切なトレーニングを継続すれば、まだまだ投げられると思えるのだ。わたしも古希野球を通じて世の人々に元気と勇気を与えたい。水谷 豊や宇津井 健が演じる主人公のような「味わい深さ」を表現したいと念じる昨今である。
あっ、昨日はアントニオ猪木が死んだ。
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