Wait Till Next Year

 今年は初めて還暦と古希、両チームの選手として公式戦あるいは交流戦(いわばマイナー・リーグ)に出場させてもらった。約30試合に投手として、外野手として、また一塁手としてプレーした73歳のシーズンだった。こんなに野球した年も珍しい。よく故障もせずにと我ながら感心したものだ。

 その「シーズン2022」もあと一日で終了する。来る20日(火)三田谷で紅白試合を行い、その後スタンドで三田プリンスの総会を行う予定である。来季監督等もその場で報告されるのだろう。そしてわれわれはまた、退屈なシーズン・オフを迎えるのだ。寒波もやってきて、今日の空はどんよりとして時折小雨が落ちている。野球シーズンは終わった。

 例年この季節に取り出す本がある。ピュリッツァー賞(歴史部門)受賞作家、ドリス・カーンズ・グッドウィンの「Wait till Next Year」がそれである。日本語訳は松井みどり氏で、タイトルは「来年があるさ」(2000年5月ベースボールマガジン社)。1949年から57年頃までのブルックリン・ドジャースの思い出と当時の世相を交えて様々な人生を描いた作品なのだが、わたしの子ども時代とぴったりリンクしていて、2004年と2006年にベロビーチ(フロリダ)で出会ったデューク・スナイダーやクレム・ラバイン(ブルックリン時代のドジャース名選手)も登場している。そしてわたしは「来年があるさ」とつぶやく。

 三田プリンスのIさんから成績表が送られてきた。まずは「平成4年度古希打撃成績表(公式戦」。わたしの項、「試合16 打席58 打数53 安打16 打点11 2塁打5 塁打数21 四死球3 犠打2 盗塁5 得点11 三振2 打率0.30189 長打率0.396226」。よくまあ細かく記録してくれて。投手成績はおそらく11勝5敗(せめて13勝3敗くらいであってほしい)。

 来年も投げることができたなら、おそらく結果は少し良くなると思う。年齢に応じたフォームが固まりつつあるから。打つ方は必ずアップする。今シーズンの夏場以降、メガネが合わずに急にボールが見づらくなって、最後の試合で眼鏡をはずしたら3連続安打だったから。「眼がよくなっているのだ」と思ったら「単に老眼が進んだだけ」と誰かに指摘された。それでもマスクで眼鏡が曇る、あのストレスがなくなるだけでうれしい。

 生涯スポーツの現場は自分との闘い、病との共存、たゆまない家族の健康維持への努力が欠かせない。そうしてグランドで顔を合わせる球友(チームメイト)に安堵し、生きる喜びを感じる日々。その仲間としばし離れるのがシーズン・オフなのだ。急に老けますよ、心と体が。だからオフは嫌いで、「野球をやっている間は青春だよ」(故・衣笠 祥雄)とつぶやきながら、寂しさを紛らわせるように文学や映画に興味を移す日々を過ごすことになる。

 野球は独りではできない。チームがあって、メンバーがいて、組織が確立できていて、多くの方のお世話になってわたしたちがいる。感謝の念を教えてくれるスポーツでもある野球。火曜日の紅白試合を楽しもう、だから寒空に、夕刻「ランニングをやるぞ」と誓うわたしである。「来年が来るぞ」と思いながら。チームの関係者のみなさん、来年も会いましょう、健康で居ましょう、励ましあって来年の古希全国大会(大阪)に臨みましょう。1年間、ありがとうございました。

 



シニアの昭和史 独り言 (還暦野球スポコラ改題)

輝くシニア発掘~中高年に励ましを~

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