80歳現役を決めた日
市議を務める友人にメッセージを送った。「誕生日おめでとう!古希近しやな」。返信にはこうあった。「古希は数え年や!」。知らなかった。それで言うならわたしもりっぱな古希。いつの間にか、「そろそろ社会的活動から引退しようかな」と迷う年頃になっている。
中学校時代、織物の町・西脇市にはたくさんの喫茶店や飲食の店、あるいはパチンコ店がひしめき、映画館はおぼろげな記憶の中でも5つを数えた。商店街の真ん中にその一つ「蓬莱座」があった。入口には近代的な喫茶店も並ぶ東宝映画の専門館。1964(昭和39)年東京オリンピック当時の東宝といえば、言わずと知れた「若大将シリーズ」。
中間、期末テスト最終日の蓬莱座は、解放感あふれる中学生でにぎわった。加山雄三演じる主人公のマドンナは、美しい星由里子。彼女も先日亡くなった。地場産業の衰退とともに西脇市の商店街はとっくの昔にさびれてはいたが、星由里子の死はわたしにとって、かつての西脇市の栄光と蓬莱座が、完全に滅亡したように感じた。
こうして人は周囲の推移によって自分も相応に老いていくもの。「そろそろ引退か」と思う昨今にお客さんが現れた。兵庫教育大学大学院(加東市)に籍を置く現役中学校体育教師のNさんが「NPO活動について教えを乞いたいのですが」という。イチゴのショートケーキを食べながら、41歳若者の「20年温めてきた」熱い思いに触れて、教えるどころか逆に私が大きな刺激をもらっていた。
ともにコーヒーをすすりながら、NPOで野球、バスケ、サッカーなどの地域スポーツクラブを運営し、クラブハウスも持って、子どもたちの育成や中高年の健康増進に寄与するのだ、と誓った数年前が思い出された。院生のNさん、ありがとう。自分で自分の限界を決めてどうする。そういうこと。
障害者の就労支援施設「ドリームボール」にも責任がある。中学生の硬式野球クラブ「シャイン」もチャンスを見て再度NPOの運営に戻したい(今は保護者の運営)。バスケットボールはH君の力で基礎が出来た。後は女子サッカーも地域に創りだしたい。古希野球には人生を賭けて挑戦する。てなことになると、引退なんてとんでもない、それこそ、やるっきゃない、心境なのだ。
5月28日、三田駒ヶ谷公園野球場で「三田プリンス」のメンバーと体操をしながら、心ひそかに決心した。「80歳現役」。80まで元気に社会とふれあえば、ゴルフもちょっとはうまくなる?スポーツライターとしてもそこそこの本が書ける?
汗が流れる季節は、人をポジティブにするようだ。
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