人生を考えた夏

 7月18日に歩けないほどの故障(右脚)をして丸二ヶ月、悶々とした日々もあったが(そのせいで9月4日の第31回全日本古希軟式野球大会は初戦で敗退。4-5のスコア)、今後の人生を考える上では大きな収穫もあった。

 物を書く楽しさを覚えて、3つの文章を書き終えた。その最中は自分がシカゴやシアトルに居るような思いがした。ドジャース・キャンプの体験を書いていると、まるでフロリダの空気や空の色、芝の匂いまでがくっきりと蘇ってきて、「書くって楽しいな」とワクワクしながらパソコンに向かった。どこへ発表するでもなく、売れるわけもない原稿が日々の生活を励ますというのは新しい発見だった。

 野球以外にも興味、関心が高まった夏でもあった。例年の恒例行事?メディアには戦争に関するドラマ、ドキュメンタリーが流れる。わたしも倣って我が家の先祖の墓碑を調べた。ひとりは「昭和20年6月15日 ルソン島ママヤン部落」。弟は「昭和19年11月4日 モロタイ島」で戦死。多可町図書館で戦争に関する本を借りて読んでみた。ルソン島では6月に入り地元ゲリラ(レジスタンス勢力?)の動きも活発化している。そこで命を落としたのかもしれない。澤地久枝の「記録 ミッドウェー海戦」を購入して読んだ。映画「はだしのゲン」も借りてきて鑑賞した。戦争(戦争責任も含め)を深く考えた初めての夏だった。

 読書の幅も広がって社会や人生の在り方を思うと、多くの人が狭い視野の中に居て、「下手な生き方」をしていることに気づく。

 9月初めの神戸新聞に、「中学再編巡り黒田庄で説明会」の記事が掲載された。「住民との溝埋まらず」175人の参加者から異論が続出したとのこと。同時に教育長辞任の報も。巷には市長と教育長の意見が異なり、対立関係にあるとのうわさも流れていたから予想は出来た。「S教育長 月末退任へ 4期目途中」と小見出しがある。「黒田庄中学校の廃校案の白紙を求める会」発起人、ナイード京子さんは「突然すぎて、ショックで言葉が出ない。住民説明会の中でも、数少ない本音で話してくれる人だった」と述べている。

 さらには9月13日(水)にはこんな記事が。「西脇・女児いじめで重大事態」「入学直後から暴言、金銭被害」。ここに至って、市民のこんな声。「西脇子午線マラソン廃止から統廃合、いじめ問題と、西脇の教育はどうなっているんだ」。落胆と怒りの声が出ている。

 故障から、いったん野球を離れて人生を見つめたときに見えてくるものがあった。わたしは考える。「本当に教育長の判断は正しかったか?」と。任期を半年残しての辞任である、ならば自分の後継者を育てているのだろうかと疑問を持つ。ここは我慢して(市長と意見が違っても)任期を全うして円満に退職すべきだった。自分が辞めたら市長サイドは「いう通りになる」小物か、名誉欲の強い人物を推薦するのは自明のこと。すでに教育長は次期候補者を(あくまでわたしの判断だが)現場に校長として出してしまった。何も手を打っていないじゃないか。やはり、だった。今朝(9月27日)の神戸新聞に次期教育長としてE氏が決定したと報道された。人は良くても、新教育長に難局を乗り切るビジョンはあるのか、部活動の地域移行も含めて新しい施策を提示する力はあるのだろうか。その能力に注目するが、期待はしない。

 後継者づくりは大切だ。教育長辞任問題から学び、わたしは西脇軟式野球協会の後継者づくりに着手している。わたしの後の理事長選びと、これから20年後を考えての組織づくりが始まっている。組織の長に居る者は我慢強くなければならない。一喜一憂しない長期的展望を持たなければならない。こんなことをこの夏に勉強させてもらった。「怪我の功名」か。

 右脚はまだ完ぺきではないが、投球には支障がないまでに回復した。昨日の練習ではほぼ満足のいく投球ができた。いよいよ10月2日(月)は甲子園スターとアウェイ(西宮市・甲子園浜球場)決戦。勝った方が兵庫県東地区の古希野球優勝に大きく近づくのだ。故障の中でわたしは新しい投球フォーム、球種を身につけた。勝ってぜひともチームを来年の全日本古希大会(新潟市)へ連れていき、今年のリベンジを果たさなければならないと燃えている。

 2日に勝利すれば、6~10日は大学の同窓会が待っている。野球に勝って、おいしい酒が飲みたい。松江市~隠岐の島~玉造温泉~出雲大社へと、懐かしの仲間と4泊5日の生活をともにする。年齢のこともあり、全国の同期生と会うのは最後の機会と思って出席を決めた。

 人は苦境の中で成長を成し遂げるものなのだ。2カ月の故障は、今後のスポーツ活動や生き方に大きな示唆を与えてくれた。地球規模の気候変動による危機的な暑さだったが、わたしには「人生を考えうる」貴重な夏だったといえる。

 




 



シニアの昭和史 独り言 (還暦野球スポコラ改題)

輝くシニア発掘~中高年に励ましを~

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