全勝優勝!古希野球の生き甲斐

 兵庫県還暦軟式野球連盟に登録する古希野球チームは14チーム。それを東西各7に分けてリーグ戦を行っている。遠方への遠征を避けるための措置と聞いた。われわれ三田プリンスは東地区に所属する。そして2023年のリーグ戦も最終盤に入り、11月6日(月)三田は「マジック1」で宝塚グリーンスターの本拠地(宝塚スポーツセンター)へ乗り込んだ。

 中国道を走っているとワイパーが必要になった。午後から雨の予報が出ている。天候で集中力をそがれないようにしなくては。駐車場に入ると捕手のMさんから電話が。「今どこを走ってますか?」。練習開始時間なのに投手がいない、どうなっているのだと心配をかけたのだった。集合時間を勘違い。そんなエースは立ち上がり不安定。2回に1点を先取された。

 プリンスの打撃力は強烈だ。3回に3点、4回に3点と得点を重ね,6回表にはさらに2点を追加した。6回裏に1点返されたが、試合は8ー2で終了。優勝を意識してプレッシャーのかかる試合だったが、野球の上手い宝塚を相手に完勝、全勝で(残り試合1)2023シーズン東地区の優勝を飾った。ベンチにはみんなの笑顔があふれ、喜びの声が響いた。「新潟でうまい酒が飲めるね」と。この勝利で来年の全国大会出場が決まったのだ(新潟市)。

 ベンチの雰囲気も良く、交流戦(この日の2試合目)も楽しく盛り上がった。公式戦のメンバーだけではなくて、交流戦出場の選手がいて初めてチームに力が加わる。好プレーはもちろん、珍プレーにも拍手が起きて、野球本来の楽しさがグラウンドに満ちていく。交流戦も6-4で締めた。この時点での三田プリンスの成績は、10勝1分け、勝率0.955 1試合平均の得点は9.09で失点は1.73、得失点差は7.36。すべてが東西地区あわせて1位の成績である。

 チームのまとまり、雰囲気がもたらした成績だった。N監督が勝利の挨拶をして全員に感謝を述べた後、「会長にも一言」と85歳の長老に発言を求めた。「みんなの力で優勝できました。ありがとう」。それぞれが思いを込めて、雨の宝塚スポーツセンターを後にした。天気は交流戦が終わるまで待っていてくれた。

 今シーズンは1月17日(火)の初練習で幕を開けた。2月15日(水)に還暦野球練習試合、古希は27日(月)が初練習試合。そこから約10カ月、みんなで野球をしてきた。体調不良(中には重い病気もあるが)で二人、三人とグラウンドから離れた現実もあった。重い病を克服してチームに復帰した人もいる。肉離れで苦しんだ人も(わたしを含め)、耳が遠くなってきたメンバーも、奥さんの介護に追われるヴェテランもいた。生涯スポーツの現場は簡単なものではないのだ(わたしはこの試合も痛み止めのロキソニンと胃薬の世話になった)

 試合後のあいさつで宝塚の人たちと言葉を交わす。「また来年も野球をしましょう」と。重い内容を持つ言葉だ。「来年もこのメンバーでグラウンドに集いましょう」と交歓して、わたしは荷物を片付けに戻った。熱いシャワーを浴びて帰路に就く。宝塚スポーツセンターのシャワーは無料。スポーツ愛好家にやさしい街なのかも。

 雨が激しく振っている。一般道を西脇市へ向かって走りながら自分の3打席を振り返った。ライト前、センター前そして3本目のレフト前ヒットは打点が2。3打数3安打だった。10月30日の西宮戦も2安打。素直な気持ちで、投手を中心に考えて打席に入ると(自分の構えなどに気を向けずに)ボールがよく見える。安打が打てる。「パッと構えて、素直」。これは人生全般に応用できる内容だと、最近気づくことがある。

 兵庫の還暦野球、古希野球を牽引する立場となった三田プリンスは、近日中には還暦、古希ともに役員の改選を迎える。選挙はしない。選挙をするとチーム内に派閥が生まれ、結果が尾を引き、やがて分裂するといった他チームの教訓から「自薦他薦と、話し合い」によって指導陣が決まるだろう。グラウンドへ行き、馴染みの顔に出会ううれしさは格別だ。「生きている」と実感できるから。そんな気持ちを続かせてくれるリーダーの選出を期待している。

 意見の異なる部分は除いて、一致できるところで協力し、共同の取り組みをすすめる。そうすればほとんどの問題は解決できる。チーム運営に活かしたい鉄則だなと柄にもないことを考えながら車を走らせていたら、全身の疲れが何とも心地よく感じられる。カーナビを通して妻の声が流れる。「勝ったか?今夜何が食べたい」。わたしのリクエストで夕食は「すき焼き」と決まった。優勝を決めた日の雨の田舎道は紅葉が映えている。こんな日が来シーズンも続いてほしいと願った。

 

 




シニアの昭和史 独り言 (還暦野球スポコラ改題)

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