草魂カップ速報
2日の18:00、西脇市のイタリアンで食事を共にしたとき、プロ野球通算317勝のレジェンドは「わたしは不器用で、真っすぐなだけの男なんですよ、その良さも至らなさもこの人は全部知っていてくれる」と、隣のスポニチ経営企画室のWさんを称えた。「鈴木番」記者としての付き合いから、その職を離れてもずっと変わらぬ関係を保っているお二人に「きれいな関係ですね」とわたしは感想を述べた。
鈴木さんは逆に「坂部さん(市議)と竹本さんの関係こそすばらしい」といい、お二人のおかげでわたしは活かされていると励ましてくれた。赤のグラスワインを片手に楽しそうに笑う史上4位の「最後の300勝投手」鈴木さんを前に、4人の信頼関係の深まりを実感し、11年間の歩みを感慨深く振り返るのだった。
3日夜にK市の軟式野球協会理事長からうれしいメールが入ってきた。次のような内容だった。「残念ながら初戦敗退でしたが、両チーム(2チームが参加していた)の指導者・保護者からは、"すごくいい大会に参加させていただいて、選手だけでなく全員いい思い出となります” と連絡が来ました。残りの日程の無事と盛会を祈ります」。選手だけでなく、保護者や監督・コーチにとっても良い大会だったのだ。主催者冥利に尽きるありがたい大会評である。
その大会とは元近鉄バファローズの投手・監督だった西脇市出身のレジェンドの名前を冠した「第11回 鈴木啓示 草魂カップ学童軟式野球大会」(主催:実行委員会 主管:西脇軟式野球協会)のこと。後援は、西脇市、西脇市教育委員会、西脇市スポーツ協会、(公財)西脇市文化・スポーツ財団、神戸新聞社、スポーツニッポン新聞社。協力は北播少年野球連盟。協賛はダイワマルエス(株)、(株)共同写真企画。地域が総力を挙げて取り組んでいる大会といえる。
前日の1日、4会場の準備を行った。白線引き、入場行進のためのポイント打ち(カラーコーンも並べて)、放送設備の設置や横断幕のくくりつけなど、地道な作業が進む。きれいに整えられた緑が残る外野の芝や、内野の黒土に目をやりながらベースを固定していると、日本の子どもたちの幸せを感じる。片や生命の危険と隣り合わせで生きている、ガザやウクライナの子どもたち。野球を「大いに楽しんでほしい」と願いながら準備をしていた。
当日の朝(12月2日)審判団と役員は午前時に西脇公園野球場に集まった。上空は星空、霜が降った朝は寒い。他支部から応援の審判3名も駆けつけて午前8:30には開会式が始まった。県下32チームの入場行進。団旗やユニフォームがカラフルで、明るい雰囲気の中でセレモニーが進み、優勝旗返還になると名誉大会長・鈴木啓示さん(通算317勝の殿堂入り投手)がひとりひとり握手をして頭に手を添えたり、言葉をかけたり、草魂カップならではの光景が見られた。
大会は西脇公園野球場など4会場で1,2回戦が行われてベスト4が出そろった。大差で敗退するチームもあるが、大会を愉しむことこそ今大会の趣旨であるから、勝っても負けても楽しんでいただくことに意義がある。だから「いい大会」なのだ。9日(土)最終日には西脇軟式野球協会の4チームが優勝をかけて競うことになった。まったくの偶然なのだが、協会のまとまり、雰囲気の良さがこの結果を生んだのだろうと思うことにした。
いや、大会期間中は欠かさず西宮市向陽園の自宅からかけつける鈴木さんの子どもたちへの姿勢が地元勢を後押ししたのかも知れない。協会審判団、役員そして鈴木さんとの信頼関係の深化に感動した二日間だった。
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