古希野球の価値観は日本スポーツ界を変える?
我が家のペット4匹が相次いで「お空へ」(孫たちに言う言葉)。ポッカリ空虚な気分ではあるが自由も戻ってきた。同時に自分たち夫婦の健康維持に思いを馳せる。そんな休日、「庭木が見える場所にわたしも書斎がほしい」、女房の願望に応えようと二階から大きな椅子を運んでいたら階段から激しく落下。膝や右腕に傷を負い、右側頭部も強打。
「明日の野球はだめかも」と思ったが、強運なのか野球のピッチングに要する筋肉や関節は無傷だった。かくして本日、10月9日(火)、わたしは無事に三木防災公園野球場へ赴くことが出来た。首は重く、膝は痛い。だが気分は空のように真っ青。一カ月ぶりに古希野球「三田プリンス」のメンバーと会う。
プリンスといえば先日の還暦野球全国大会で三位入賞を果たした。神戸新聞三田版に写真が大きく掲載されたから周知の事実。かつてチームの基礎づくりに一役買ったわたしは、懐かしのチームで、来シーズン古希野球選手としてデビューの予定だ。70歳のルーキー、つまり「オールドルーキー」(ハリウッド映画)。
2試合目の交流戦に登板したわたしはまたも調整不足、球が走らず不本意なコンディションだった。エラー、エラーの連続で2点取られても最終回まで10対2のスコアで勝利目前。そこでスタミナ切れのわたしはホームランを打たれて10対4でゲームセット。きっちりトレーニングせずにゴマ化したツケだった。一カ月に一度の登板は難しいものだ。
古希野球に調子の好悪など無関係。真夏を思わせる好天の中で、わたしは生きる歓びを表現していた。プロ野球の世界では契約解除の季節。当落線上にいながらも高校時代からちやほやされた若者の中には危機感もない、甘い選手がいると聞く。片や20年のブルペン捕手(いわゆる、壁)からいきいきとしたLineが届く。「ファームで日本一になりました!」と。
高校野球秋季大会ではエースの酷使で、投手の体はボロボロとかの噂を耳にする。日本の野球はどこかおかしいぞ。人生の歓びと野球が結びつかないと面白くないのにと思う。生きている、仲間がいる、そこに野球が在る。ブルペン捕手や古希野球選手の精神と歓びを若きプロ野球選手や高校生に教えてあげたいと思うのはわたしだけだろうか。
仕事に向かうわたしにN監督が伝えた。「きょうの主審が、(三田の投手は)人間のできた人ですね、エラーでも顔色一つ変えない、うちのチームなら大変ですよ」とわたしを評価したというのだ。我の強い、負けん気いっぱいの我儘投手だったわたしが、古希野球の選手になってこのような評価をもらった。「本日の一言」だった。
野球だけじゃない。心身にハンディを持つ利用者さんとともに、就労継続支援B型「ドリームボール」を開設して、日々彼らと暮らすこと4年。知らず知らずのうちにわたしは精神障害を持つ若者たちの生き方に引きずられ、そして精神的に成長したのだ。きっとそうだ。
彼らの待つドリームボールへ一刻も早く。というわけで、早朝に出発して、7イニングも投げたのに、汗もいっぱいかいたのに、昼ごはん抜きで車を走らせた。帰ると相談室で、23歳のK君が初めてわたしの膝に座ってスマホを操作した。背中を撫でるとうれしそうだった。
古希野球の清秋に感謝。
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