「ストーリー」とは
わたしたちの事業所「ドリームボール」(心身にハンディを持つ人たちの就労支援施設)は現在、高品質クッキーを生み出すために努力をしている。西脇市農林振興課が「農福連携」事業として特産品「金ごま」づくりを提案し、その作業に参加して2年目を迎えた。そこからヒントを得て始まった、金ゴマを使用しての「味よし、形よし」のクッキーづくり。夢は大きく、市を代表する土産物にすること。
プレーンやイチゴを使用したクッキーもつくるけれど、大事なことは西脇市の特産品「金ごま」を使用していることなのだ。そこに農福連携の成果も生じる。わたしたちのクッキーづくりに関する理念や動機がここにある。つまり、ストーリー性が在るのだ。
昨日から事業所に隣接する「黒田庄ふれあいスタジアム」では中学生硬式野球の試合が開催されている。大会名は「第4回西脇市長旗杯中学生硬式野球大会(第5回官兵衛杯野球大会)」。NHKの大河ドラマで「軍師官兵衛」が放映されたのは2014(平成26)年のことだった。戦国末期に活躍した黒田官兵衛は後に羽柴秀吉の軍師として名を馳せた。現在の姫路市で生まれたとされる。
放映の真っ最中に西脇市が「黒田官兵衛西脇誕生説」を発表。観光事業としても熱心に取り組み始めた。西脇市黒田庄町の荘厳寺の文書には「官兵衛」に関する記録も存在するという。これだ!市の盛り上がりに中学生の野球が貢献する。幾分かのユーモアも含んで、わたしは大会を起こした。参加チームは西脇市、姫路市、伊丹市、三木市、京都府など、官兵衛の歴史に関係する地域から招聘した。2014年秋に第一回を開催し本年で5回を迎えている。
大会運営の主催者が変更される中で「官兵衛杯」から市長旗杯へと重きが流れ、招聘チームも変わり、今日の女性アアナウンスの声は「只今より西脇市長旗杯の準決勝を行います」だった。主旨が変わってしまった。関係者の努力に感謝しながらも、市長旗杯もよし、ただ官兵衛杯をながく残したかったと思うのだ。ストーリーが在ったから。
スポーツとストーリーを考えていたら、今朝の神戸新聞にフィギアNHK杯の記事が出た。見出しは、”紀平「見ている人に勇気を」。10日広島県立体育館で開催されたフィギアスケートのグランプリシリーズNHK杯で紀平梨花選手(16)が優勝を飾った。記事によれば、紀平選手と2位に入った宮原選手を指導する浜田美栄コーチ(56)は被爆二世である。おばを13歳で失くした経験を持つ。試合前の浜田コーチの言葉「好きなことをやり続けられる世の中で才能とチャンスに恵まれた。それを生かして本気で演じよう」が両選手の演技に影響した。
「先生の話を聞いて自分の為ではなく、見ている人に勇気を与えたい」(紀平)。「先生にとって特別な場所で、特別な舞台」(宮原)。そう思うことでリラックスできて最高のパフォーマンスを生み出すことが出来たといえるだろう。コーチの言葉がいい。「ここに連れて来てもらって、本当に感謝している」(浜田)。久方ぶりにさわやかなスポーツを見せてもらった思いがする。これも大きなストーリー性だ。
来シーズンからデビューする古希野球の現場にも、わたしなりのストーリーが存在する。だからこそ力が入る。ストーリーのない、競技と勝敗だけのスポーツはやっていても面白くないと、自身は思う。古希野球のストーリー、それは徐々に明らかになるだろう。
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