スポーツは「誰」のためのものか

 2月6日(水)午後7時、第11回西脇市議会議場開放講演会が開催された。場所は文字どおり西脇市議会本会議場。普通われわれ一般市民には足を踏み入れることの出来ない本会議場だから、厳かな雰囲気が漂う。開会冒頭には市議会の活動報告もあった。

 講師は西脇工業高校陸上競技部の足立幸栄監督(56)。講演テーマは「駅伝スポーツを通して学んだこと」。約80分の講演では足立先生のやさしい人柄、熱心な指導ぶりがよく伝わってきた。終始笑顔で話す彼の姿にも好感が持てた。

 人との出会いに恵まれた自分の人生、坂田塾の塾長、坂田信弘氏との出会いで「変わる勇気」が持てたこと、そこから生まれたやる気を起こさせる指導。足立先生が「固定観念」を破りながら生徒の良さを引き出す新しい指導方法を模索している姿が聴衆に伝わった講演会だった。

 遅ればせながら西脇工業高校の駅伝をこういう舞台に登場させた議会の見識はすばらしい。ただ、時代に遅れただけなのだ。

 かつてNHKスポーツ報道センター長を務めた(1988-92年)杉山茂氏(現スポーツプロデューサー)は20011年4月発刊の著書「スポーツは誰のためのものか」で次のように述べている。

 「必要なのはスポーツ振興ではなく、地域振興にスポーツはいかに役立つかのアピールであろう。地元の人たちの日常を豊かで和やかなものにするためのスポーツとは何か、だ。スポーツを盛んにするためだけのスポーツ振興であっては、地域とのコミュニケーションは順調には進展しないのだ」

 全国高校駅伝で8度の優勝を誇る名門西脇工業高校を擁する西脇市。そこには全天候の400mトラックはない。市民の健康増進に寄与するランニングクラブもない。中学生のレベルも年々低下している。「西脇工業の生徒たちが試飲した桃のジュース」も、西脇工業生の走るコースを辿るランニング・ツアーもない(他にはあるのだ)。高校生のランニング姿をプリントした自動販売機もない。(他にはあるのだ)

 西脇工業高校の渡辺公二前監督、現在の足立先生、西脇陸上競技協会のみなさん、市行政関係者、議会の先生、多くの市民など、全ての人々は真面目に、真剣に取り組まれたはずだ。現在の低迷はただ、「時代に遅れただけ」なのだ。そしてそれは再び取り戻すにはものすごいエネルギーが必要な遅れである。

 あとは、駅伝の結果を求めるのではなく、よき指導者を育成する道へシフトチェンジしてはどうだろう。


シニアの昭和史 独り言 (還暦野球スポコラ改題)

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