断捨離~新型コロナ危機の中で~
兵庫県還暦軟式野球連盟が公式戦の中断を発表した。4月6日からの還暦・古希の公式戦に適応される。仕方のない自粛だろう。4月4日14:00現在、世界の新型コロナ罹患者は968,974人(前日比+75,620人)、死亡数は50,248人(前日比+4,790)。アメリカのニューヨークなどで貧困層が次々になくなっている報道にはやりきれない思いがする。
日本国内では患者数は2,935人(前日比+318人)で、死亡者は69(前日比+6人)。「今の日本は3週間前のニューヨークに似ています」とは、アメリカ在住の日本人医師の言葉。とはいえまだまだ日本人の危機意識は低いと思わざるを得ない。
レストランもダメ、田舎の喫茶店でも人が集まる密室はダメ。それなら「ドライブ花見」にしょうかと、昨日、久しぶりに二人で田舎道を走った。加美町道の駅で百日鶏のから揚げとぜんざいに満足して(もちろん野外で食べた)丹波市へ抜けようとして駐車場を見たら、なんと大阪ナンバー、なにわナンバーが3台も並んでいるではないか。確かどこかの知事が「大阪と兵庫の交流は自粛を」と呼び掛けていたはずなのに、自粛疲れを癒したい人々はじっとしてはいられないのだろう。
還暦・古希野球の中止はさみしい。だが勝敗に一喜一憂する緊迫感もいいものだが、仲間が体を動かし、ボールを追って練習するだけで満足できるのも事実なのだ。幸い、三田プリンスでは週二回の練習は継続するという。これからはシンプルに考えて行動すればいいのだ。それが流行りの言葉でいう「断捨離」かも。
大掃除をしたり、物を省くのだけではなくて、人間関係や仕事にも適応される、それが本当の意味での断捨離。最近、段ボール19箱分の本を捨てた。「このゴミ、ホームレスの家みたいやで」、ロサンゼルスから帰国するたびに文句を言っていた長女。その倉庫横のごみもきれいに片づけた。2月には7年間運営に参加してきた中学生硬式野球クラブの代表を辞任。発足当時のスタッフの苦労や、お世話になった保護者や生徒たちの思い出に感謝した。
この6年間、夫婦で全エネルギーを費やしてきた障害者施設「ドリームボール」の代表も実質引退をしている。今は週2回程度顔を出すだけだが、先日久しぶりに終日勤務した。夕刻、事業所の窓ガラスから小川の流れと桜を眺めていたら、利用者第1号80歳のおじいさんや亡くなった若者2名の顔が浮かんできた。さみしくても、ある年齢に達すると後進に道を譲ることが必要だ。
映画「釣りバカ日誌」の最終回、鈴木建設の社長(創業者)が社員を前に引退のあいさつをする場面がある。三国連太郎演じる社長、スーさんの演説。カメラはスーさんの後方から大勢の社員の顔を映し出す。「わたしは今日、鈴木建設を去ります。創業した会社を去るのはつらいものです」。間をおいて次の言葉。「しかし、会社はわたしのものではありません」、驚く全社員の顔がクローズアップされ、かたずをのんで次の言葉を待つ。「役員のものでもありません。会社は皆さん一人一人のものです」。鈴木建設の理念は利益よりも社会の役に立つ建築物を優先してきました、会社が苦境に立たされたら社員が首になる前に役員が先に身を処さなければならない、そう語り終えた鈴木社長に全社員から万雷の拍手が。
わたしはこの名スピーチを思い出して後進に道を譲ることにした。きっとスーさんが願ったように、創設の理念を全うしてくれるものと信じて。今回のウィルス騒動は、国、世界レベルあるいは個人レベルでライフスタイルの変更を求めてくるはずである。
人生初の半リタイア生活に入ったわたしは、週2回野球の練習をし、午後は旧図書館の地下室で故・今里先生の大リーグ資料を整理しながら来るべき資料館開設の準備を怠らず、関係する本や資料から学ぶ毎日を送っている。1年後には昭和30年代からスポーツ人生一筋のある人物についてノンフィクションを書くことになる。そのための断捨離。
皆さんの無事を祈りながら、家族の健康を祈りながら、明るい気持ちで未来に挑戦しようと思う。新型コロナウィルス流行の終焉を願いながら。
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