一冊の本との出会い
ベロビーチの本文に入る前に、還暦・古希野球練習風景を少し。21日(火)久しぶりの練習参加。30名が集まる。雨空の中に一転の快晴、急に夏がやってきた感じで、流れる汗も今季一番の量。夜には頭に熱が入ったようで熱中症?と心配するありさまだった。だが、この疲労感がまたたまらない。氷水や焼酎の水割りがダックダック流れるように喉を過ぎていく。野球よ、ありがたきかな。チームメイトよ、うれしいかな。わたしにとって三田谷球場はフロリダのベロビーチにつながる聖地となっていると思うのだ。
いい本との出会いは人の一生を変える力がある。
佐山和夫さん(ノンフィクション作家)が「59歳のドジャーズ・キャンプ体験記」(小学館)を出版したのは、1996年の秋だった。彼は慶応義塾大学の英文学科卒の経歴を持ち、アメリカ野球学会やベーブ・ルース学会でも活躍していて、野球の起源に関する著書や、黒人野球(ニグロ・リーグ)についての論考も多い。
彼はまた、実際にプレーをするのが大好きで、「ロータリー・クラブのチームで甲子園のマウンドにも五度立った。アメリカ・アイオワ州ダイヤーズヴィルにある、あのフィールド・オブ・ドリームズの野球場でプレーしたこともある。野球開祖の伝説のグラウンド、クーパーズタウンのダブルデー・フィールドでも投げた」と述べている。作家という職業からは想像もできない、本格的な野球愛好家である。
わたしはこの本によって、アメリカのプロ野球球団がファンサービスの一環として、30歳以上の大人を対象とした「ドリーム・キャンプ」、「ファンタジー・キャンプ」と称されるものを実施していることを知った。
本の表紙には、ドジャーズのホーム用ユニフォーム(白地にブルーでDodgersの文字)に身を包んだ佐山さんが、チームメイトとともに、ドジャーズのかつての名選手たちと写真に収まっている。ページを一枚めくるとフロリダの風景が眩しい。上空から撮影した写真は、グラウンドの赤土と、緑の芝を鮮やかに映し出し、11月のベロビーチが美しく光っている。
7面の球場を持つドジャータウンには、トミー・ラソーダやレジー・スミス(読売ジャイアンツでプレーした)もやってきて、その中で佐山さんは、野茂英雄と同じマウンドに上ったのだった。この本は、私の心に大きな夢の灯をともした。
キャンプの日程
この体験記によればキャンプの日程は次のようになっている。
・ 7時からダイニング・ルームで朝食。
・ 8時15分からクラブハウスで着替え。すぐに第2球場へ集合してベースボール・カードの撮影。
・ 9時からストレッチングとランニング。午前中の練習はグループごとに巡回。
① インドア・バッティング・ケージ。指導はレジー・スミス。
② ピッチング。指導はカール・アースキン、プリーチャー・ロウ(ともにブルックリン時代の名投手)。ジェリー・ロイス(通算220勝)
③ 第1球場でバッティング練習。インストラクターはスティーブ・ガービー(1997~80年代にミスター・ナショナルリーグと呼ばれた)
④ 第2球場で守備練習。指導はリック・マンデー(1976年、二人のファンがグラウンドに乱入してアメリカ国旗を燃やそうとしたときに、国旗を取り返したことで有名)。ラッセル(ラソーダの後を継いでドジャーズ監督を務めた元名内野手)他。
こうやって、午前中はフリー・バッティングやダブルプレーの練習が行われ、午後はゲームが組まれている。
ベースボールが終了してシャワーを浴びれば、夕刻5時からはカクテル・ラウンジで、その日のゲームをビデオ鑑賞しながらビールなどを楽しむ。夜の7時からはディナーと表彰。夜はインストラクターとの会話。プールにカード。ベースボール関係の映画も流されるそうだ。
これが、佐山和夫氏が語るドジャーズ・キャンプの一日。
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